2026年度入試出題傾向:国語

出題傾向

  1. テーマ:他者理解 + 自己理解
     2025年度の国語の物語文で、最も多く見られたテーマは「他者理解」と「自己理解」の組み合わせ。友人関係・親子関係・同調圧力などの中で、自分自身をどう理解して成長するか、他者との交流を通じて何を学ぶかという内容が頻出。
  2. 長文・一般文芸書の使用増加
     比較的ページ数が多い一般文芸書・長編が、難関校のみならず広めの層で出題される傾向。物語文の語彙・内容の複雑さ、登場人物の心情・背景の描写が丁寧で、思考を深めたり、解釈を問われたりする問題が増えてきています。
  3. 説明文・論説文も重視されている
     物語だけではなく、論説文・説明文の出題も一定数。特に現代社会・コミュニケーション・価値観などのテーマが扱われることが多く、「筆者の主張」「理由・根拠・反論」などを整理する力が問われる。
  4. 難語・語彙のレベルアップ
     難関校では、「普段あまり使われない語」「古語・和語」「慣用句・言い回し」の知識を問う問題が増加。灘中などでは外来語・和語・慣用表現などが難度高く出されており、語彙対策が重要。
  5. 記述・表現力の重視
     選択問題だけでなく、記述問題が増えていて、文章から読み取ったことを自分の言葉で整理・表現する力を試す設問が多い。特に物語文での「心情変化」「行動の理由」「人物間の対比」などをまとめる問題。
  6. 時間配分・飛ばす判断の重要性
     問題文・設問数が増えてきており、時間内にすべて解答するのが難しい学校も。どの大問を先に解くか、どこを飛ばすかの判断力も問われてきている。特に、漢字・知識問題・語句・読み書きの問題は別扱いのことがあり、こういう問題から先に手をつける戦略が有効。

 

代表校の特徴例

  • 麻布中学校
     物語文1題、記述中心。設問が進むにつれて「情報整理 → 解釈 →表現」の流れで、主人公や登場人物の気持ちや動機を深く問われる。設問文が長く、読む力とまとめる力・表現力が必須。
  • 灘中学校
     2日制で国語1・国語2があり、語句知識問題・漢字・慣用句などがかなり難しいものが混じる。長文読解の題材は毎年(論説/随筆/詩など)だが、最近は物語文も混じるなど変化あり。記述の割合が高く、字数自由あるいは指定字数は少ないので、自分の文章で分かりやすく書く力が必要。

対策ポイント

これらの傾向を踏まえて、2026年度に向けて準備しておきたい「勝ちパターン」をあげます。

項目具体的な対策

読書量+本の選び方

一般文芸書・長編小説・児童文学・評論・随筆などジャンル多様に読む。「他者理解」「自己理解」がテーマのものを中心に。既に出題されている作品をまず読み込む。

語彙力の強化

難語・慣用句・古語・和語などをリストアップし、意味と用法を身につける。知らない語は辞書で調べ、文脈で理解する練習をする。

記述力・表現力の練習

長文を読んで「なぜ」「どのように」を自分の言葉で整理・書く練習。国語ノートをつけて、友達や先生に添削してもらう。設問分析も。

設問分析力・読解戦略

問題全体を最初に見て、やさしいものから取り組む。飛ばす判断・設問の構造(情報整理→解釈→表現)を意識。問題を解く順番、時間配分を過去問で体得。

過去問の活用

志望校・近いレベルの学校の過去問をたくさん解く。出典・設問形式・配点・時間を把握する。類似テーマなどを傾向として押さえておく。

要約・要旨把握の練習

説明文・論説文では、筆者の主張・根拠・結論を素早く捉える訓練。段落ごとの要点をつかむこと。

全体として共通する特徴

まず、これらトップ校に共通しそうな国語 (“読解・表現力”) の傾向をざっと挙げると

  • 読解力+記述力の両方が高く求められる。単なる選択問題や抜き出しだけではなく、自分の言葉で答える問題が多い。
  • 長文の分量が多め、設問も多種多様。文章を読むスピードと設問を正確に理解する力が必要。
  • 漢字・語句知識などの基礎がしっかりできていないと記述で減点される。
  • 物語文・説明文(論説文・随筆など)・詩・韻文などジャンルの幅が広い。苦手なジャンルを作らないことが重要。
  • “設問の意図を読む”能力。比喩・対比・因果・心情の変化など、筆者がなぜそう書いたかを考えさせる形式。
  • 時間配分に厳しい。記述の文字数指定や枠(行数)指定があるものもあり、その制約内で分かりやすく、過不足なく書く必要。

各校の特徴と具体的な対策

以下、各校ごとの傾向と、2026年入試に向けて特に注力すべき対策をまとめます。

学校  出題傾向の特徴  対策の重点ポイント

筑駒(筑波大付属駒場中)- 説明文・物語・随筆・詩などジャンルが多岐にわたる。
- 詩・短歌・俳句の韻文出題は毎年ある傾向。韻文の解釈・イメージを読み取る力が問われる。

- 記述中心。設問は「なぜ」「どういうことか」を問うものが多く、長さよりも内容の明確性が重視される。

- 解答欄が小さい/文字数指定が短い問題があり、無駄のない表現が求められる。 詩・韻文の読解演習を早めに始める。韻文独特の語感・比喩・余白(詩の行間、読者に任せる部分)を読み取る練習。

- 記述問題で「60〜90字程度」など短く簡潔にまとめる訓練。設問が要求しているポイントを過不足なく整理 → 余分なことは書かない。

- 多様なジャンルの文章を読む。説明文・随筆など、論理展開のタイプが異なるものを意識的に。

- 過去問を使って、設問形式・傾向(書き出し指定・語句の意味・慣用句など)を把握。

- 語彙・漢字を日常的に積み上げる。なぜその語が使われているか、語感・ニュアンスも理解する。

開成中学校- 説明文・物語文の2題構成が基本。漢字・語句の知識問題はあるが、読解+記述が中心。
- 記述問題が非常に重視されており、選択式はほとんど出ない。内容の深い読み取り、自分の言葉での論理的な説明が求められる。

- 出典が比較的 “古め” の作品(出版後5年以上経つもの)から出ることが多い。新しさよりも文章の普遍性・テーマの重さが重視される。

- 記述形式は字数指定がないものもあり、行数指定や「○行で」といった形式が使われることも。簡潔・核心をつく表現が求められる。- 記述演習を多数こなす。特に「なぜそうなるか」「どのように考えるか」という問に対して、自分で論理を組み立てて書けるように。

- 解答は簡潔に。「だらだら書かない」「本文から余計な言葉を引っ張ってくることは避ける」こと。問われていることに正確に答える。

- 時間制約を意識して、過去問でタイムトライアルを繰り返す。

- 古典的テーマ・普遍的テーマ(生き方・倫理・社会)など、重い・普遍的なテーマ(親子・正義など)の文章を読み込んで慣れておく。

- 語彙・漢字の基礎を確実に固めておく。語句の使い分け・言葉のニュアンスを問う設問での減点を防ぐ。

聖光学院- 設問同士が「つながっている」構成が多い。たとえば、ある選択肢が次の記述問題のヒントになっていたりする。
- 知識問題(漢字・語句) + 本文読解(文学的文章や説明文)の二本立てが基本。

- 記述問題の割合は近年、やや減ってきており、選択肢問題が増える傾向。とはいえ、記述は無くならない。

- 文章はやや文学的寄りのものが多く、心情・人間関係・他者理解がテーマ。設問が丁寧に構成されていて、流れ・立場・視点の変化を読み取ることが大事。- 選択肢問題の読み比べを丁寧に練習する。選択肢の中で「微妙な差」を見極める練習を。

- 記述の練習も確保。「心情変化」「立場の違い」「登場人物間の視点のズレ」などを意識してまとめる。

- 知識問題(漢字・語句)の間違えを減らす。漢字の書き取り・慣用句・語句の意味を確実にする。

- 過去問で設問のつながりを意識する練習。選択肢 → 次の記述と関連するものはどこかを見逃さない。

海城中学校- 大問2題構成(物語文+説明・論説文)が定番。
- 文量が多め。合計で7,000〜10,000字前後、大問1・2それぞれの文章もやや長め。

- 選択肢問題多数、選択肢の文も長いものが多い。読み比べ・傍線部の前後をよく読むことが重要。

- 記述問題も出る(1〜2題程度、50〜100字程度など)。書き出し指定・語句の指定があることも。

- 漢字・語彙の基礎問題を確実に。誤答しやすい語句や慣用句・敬語・言葉の使い分けにも注意。 長文を読む速さを上げるトレーニング。段落ごとの要旨をつかみつつ、設問を先に見て読みながらポイントをマークするような読み方を身につける。

- 選択肢の読み比べの練習。傍線部だけでなく前後の文脈を見て選ぶようにする。

- 記述は50〜100字前後のものに慣れておく。字数指定・書き出し指定がある問題への対応練習を。

- 漢字語句を毎日復習。語彙力が差となるところ。

- 解答順・時間配分戦略を立てて、過去問演習で“どの問題を先にやるか”“どこを捨てるか”などを体感的に掴む。

駒場東邦中学校- 長文一題形式(漢字・語句・選択肢・記述のバランスのとれた設問構成)というパターン。
- 文章の題材は、受験生と近い年代の登場人物が主人公の物語文が多く、身近なテーマ(家族・友人・日常・責任・成長など)。

- 記述問題の字数は120字程度というのが見られることもあり、ある程度まとまった記述力が求められる。

- 漢字・語句・読み書きは基礎部分は押さえておかないと致命的。設問タイプも多岐にわたる。 物語文を中心に、主人公・他者との関係・心情の変化・物語のテーマを整理する練習を多く。

- 120字程度の記述問題に対応できるよう、構成を練る。導入→本論→まとめの3部制など、型を持たせて書くと安定する。

- 漢字・語句の知識をしっかり固め、書き取り・読み・慣用句・言い回しなどを漏れなく。

- 選択肢と記述の割合、時間配分を過去問で確認し、試験中の戦略を立てる。

- 日常的に良質な物語を読むことで、語彙・心理描写・テーマ把握の力を育てる。

優先度をつけた準備スケジュール(2026年向け)

※今から(もし5〜6月以降として想定)始めるなら、以下の順番で準備すると効率的です。

  1. 基礎固め
     漢字・語句(意味・使い方・慣用句)/語彙力。まずはここを確実にしておく。
  2. ジャンル別読書
     物語文、説明文・論説文、詩・韻文・随筆。各ジャンルに慣れる。苦手なものを見つけて重点的に読ませる。
  3. 記述力の養成
     短い記述 → やや長め(100〜120字程度) → 枠指定・語句・書き出し指定あり。型を学びつつ、添削を重ねる。
  4. 過去問演習
     各校の過去問をなるべく最近5年分。設問形式・時間配分・出題テーマを把握する。
  5. スピードと戦略
     時間を決めて過去問を解く。どの設問を先にやるか、どれを後回しにするか、不要な読みを抑えるなどの戦略を練る。
  6. テーマ・現代的題材への慣れ
     社会的テーマ・倫理・科学技術・文化など、時事や現代社会にも目を向けた文章を読む。指示語・比喩・対比などに敏感になる。

2026年度 入試国語 予想問題例(各校)

筑駒(筑波大附属駒場)

題材:詩・短歌・随筆

次の詩を読んで、問いに答えなさい。

―――
公園のすみで
ひとりの少年が 石をひろう
その石は
小さな宇宙をひめていた
――― 【設問】この詩に描かれた「石」は、少年にとってどのような存在だと考えられますか。40字以内で説明しなさい。

ポイント:抽象的なイメージを「具体化」して答える。単なる石ではなく「未知の世界や可能性を象徴するもの」とまとめると良い。

開成

題材:説明文(倫理・社会)

次の文章を読んで、問いに答えなさい。

人は他者と異なる考えをもつことで、はじめて社会に多様性が生まれる。しかし、違いが強調されすぎると、争いや断絶につながる。大切なのは「違いを認めつつ共通点を探す姿勢」である。 【設問】筆者の主張を、あなた自身の言葉でまとめなさい。70〜90字で書きなさい。

ポイント:「違いを尊重する」と「共通点を探す」の両方を含める。開成では冗長さより「要点を正確に押さえる」ことが高得点につながる。

聖光学院

題材:物語文

友人が失敗をして落ち込んでいるとき、主人公は慰めるべきか、それとも厳しく真実を伝えるべきか迷った。

【設問1】主人公が迷った理由を本文から抜き出しなさい。
【設問2】あなたが主人公ならどう行動しますか。その理由も含めて50字以内で答えなさい。

ポイント:聖光は「抜き出し」+「自分の考え」を組み合わせる出題が多い。理由と行動をセットでまとめる練習を。

海城

題材:論説文(科学技術・社会)

次の一文の意味を説明しなさい(80字以内)。

「テクノロジーは人を自由にするが、同時に人の思考を限定することもある。」

ポイント:比喩的な言い回しの「両面性」を整理する力が必要。「便利になるが依存や思考停止を招く」と二面性を押さえる。

駒場東邦

題材:物語文(家族・友情)

主人公は父親の言葉に反発しながらも、その背中に自分と同じ孤独を感じ取った。

【設問】主人公は父のどのような姿に「自分と同じ孤独」を見出したのか、120字以内で説明しなさい。

ポイント:120字前後の長い記述が出やすい。構成力(①父の言葉、②主人公の反応、③共通点の発見)を意識して三段構成でまとめる。

得点を伸ばしやすいポイント(学校別)

  • 筑駒:詩・随筆など多ジャンルに慣れる/短い字数で核心をまとめる練習。
  • 開成:論理的要約力/「問われたことだけに答える」習慣を徹底。
  • 聖光学院:設問の流れを意識/抜き出しと自分の意見をバランスよく。
  • 海城:長文処理スピード/二面性・因果関係を整理して答える。
  • 駒場東邦:物語文の深読み/長めの記述で構成力と一貫性を大切に。

妻が、臨床心理士だが、筑波大学大学院を修了してから、中学受験国語の塾をやっている。法人化。その妻のために書いたものである。これに手を入れ読みやすくやすくしたものが、ホームページに掲載されている。ホームページには名前を貸してある。わたしは、筑波大学付属中であった。東京都立大学大学院博士課程修了。文学博士。