中学受験もいよいよ佳境に入ってきました。
受験生のみなさんは、過去問解きに一生懸命になっていることでしょう。
たまに、早い時期に受験校を絞って、過去問だけを解いている生徒様がいます。
実は、みなさんわかっているはずなのですが、過去問を解いたからといって、あるいは過去問ができたから合格できるというような錯覚を持ってしまうお子さまや親御様がいます。
過去問は過去問でしかなく、同じ問題が出題されるということはめったにないのです。
以前もお話ししたかもしれませんが、過去問は、あくまでもその学校の出題傾向をつかむことに第一の目的があります。
そもそもの国語の読解力を身に付ける前に、過去問を解いてできたからといって合格を勝ち取れるわけではないのです。
例えば、選択肢が圧倒的に多く出題される学校の問題を、たまたま正答率がよかったからといって合格できるということではないということです。
受験は、一般的に国語、算数、理科、社会の4科目の合計点で競います。
最近では、国語一科目、算数一科目という試験科目の学校もでてきましたが、基本は4科目受験です。10年位前ですと、国語、算数の2科目受験の学校がありましたが、最近はやはり4科目受験が主流です。
話は戻りますが、過去問解きは大体秋口以降から始めるのが一般的です。
もちろん、国語の読解力が身について、かなり仕上がってきている場合には、夏過ぎから始める場合もありますが、それは学習していく上での練習でしかありません。
なぜ、秋口なのかといえば、
それは、春先からの模試の結果などを受けつつ、学校説明会や学校見学を終え、それを踏まえて志望校を絞っていきます。
志望校については、色々迷いもあり、実際に受験するかどうかは別として、たいていのご家庭様では、3校~4校程度の過去問を購入するようです。
実際過去問の発売は、早くて夏休み前位で、夏休み終わったころに最新版は発売されます。
中堅塾等では、夏期講習のまとめテストなどに、過去問を織り交ぜることがあります。
もしも、早くから過去問解きをしていて、たまたま良い点数を取ってしまった場合、塾の先生方が生徒様の本当の実力とテストの点数との乖離を見間違ってしまうこともあります。
その理由から、過去問は秋口からというのが、一般的になっているようです。
繰り返しになりますが、そもそもの読解力が身についていないのに、過去問を解いたところでよい点数が取れるわけでもないし、選択肢問題でたまたま正解が多かったから、合格できると判断するのは時期尚早です。
私共の教室では、志望校を絞った後、過去問解きは過去5年間程度(それ以前の問題が手に入るかどうかわからないことと、出題傾向の変更があるので)を3回くらいは解き直すようお勧めしています。
もちろん、3回目などは、選択肢問題の答えを覚えていることもあるでしょう。
それはそれで当然といえば当然です。
ポイントは、問題文の読解の質を上げることにあります。
過去問解きをして、初回は配点の3分の1程度しか取れないことはよくあるので、
そこでめげないことです。
2回目、3回目と解き直すことによって、
「そういうことだったのか!」
というような、理解が深まることで、だから、「答えはこれだ!」とお子さま自ら確信を持てるようになります。それが自信につながっていきます。
また、志望校を決めたからといって、その志望校だけの過去問解きに終わらず、受験はしないけれど、出題傾向が似ている学校の過去問解きをするということも私共ではおこなっております。
これは、解答の質の向上のために、私どもでは指導の一環としておこなっております。
過去問を一度解いたからそれで終わりにしないということが大切なのです。
間違った問題は、なぜ間違ったのかを分析したり、時には、選択肢の正解でもなぜ自分はそれを選んだのかと見直ししたりします。
正解の理由を自ら問うて、なぜなら、問題文のここに記載があるからと言えれば、それは読解力がしっかり身についているといえるのです。